初中華イヤホン KZ ZSTXをミュージシャンの視点でレビュー

4 min

お久しぶりです。SUAMAです。

長らく更新していなかったのですがこれはレビューせざるを得ないなという商品、というかカテゴリに出会ってしまったので久々に思うままに記事を書いてみよう、と思い立ちました。

この中華イヤホンというジャンル、一言で言うと魔境です。

元はと言えばギタープレイのモニター用にインイヤーモニターが欲しい、という事で探していたのですがこれがなかなか高いんですよね。

SUAMA

SUAMA

何度も引っ掛けたり踏んだりして壊しているのであまりお金をかけたくない!

安いのないかな~と探していたところ、衝撃の価格のものがあるではありませんか…

SUAMA

SUAMA

2580円だと…

普通であれば安めのインイヤーモニターで12,000円前後です。衝撃的な価格だったのでついついレビューも確認せず買ってしまいました。

ZSTX
見た目からも安っぽさはあまり感じない

結論から伝えるとハイコストパフォーマンスなリスニング向けで、基本的にはモニターとして作られた訳ではなさそうなイヤホンでしたので軽く仕様などにも触れつつモニターとしてどうだったか?リスニング用途としてどうだったか?や使いやすいシチュエーションなどを紹介していこうと思います。

いざ開封

ZSTX 箱

注文の翌日Amazonから届きました。

中国から取り寄せるとさらに安く済んだりもするのですが2週間近くかかるようですし、不良があった場合の返品を考えるとAmazonが一番良いと思います。

ZSTX 開封
光の加減で色が変わってしましました。黄ばんでるわけでは無いです

開封時にゴミが何個か出てきましたがそこはご愛嬌、という事で。

外箱も最初からなんだかめくれています。

外面だけの話をするならTHE中華感がすごくて不安な気持ちにはさせられました。

ZSTX 本体

中身は普通にカッコいいですね。綺麗なエメラルドグリーンです。

付属品はイヤーピースとケーブルと説明書のみでした。

KZ ZSTXの仕様について

いわゆるハイブリッドイヤホンと呼ばれるもので、一般的なイヤホンに使われている低域から高域まで一つで役割をこなせるダイナミックドライバー(DD)と呼ばれる部品と、補聴器の技術応用し繊細な音を担当するバランスドアーマチュア(BA)という部品を組み合わせて作られているものです。

1DD₊1BAなんて表記されたりします。一般にこの部品達を積み増しすると(3BA₊1DDみたいな)商品のグレードが高くなりますがシンプルな構成も赴き深く、1DDでも聞くのが楽しいものもたくさんあります。

部品が増えれば高くなるのであれば当然、今まで安価なモデルと言えば1DDが当然であったわけです。ハイブリッドイヤホンと言えばミドルグレード以上になり相応の値段するもの、というイメージでした。

SUAMA

SUAMA

SE215とかまさにそんな感じ。お世話になった人も多いはず。iPhone付属のイヤホンも1DDだったような。

それが現代では2580円で買えるみたいです。衝撃的。

また標準でついてくるケーブルが銀メッキケーブルで一昔前はアップグレードオプションだったようです。本当にこの値段で良いのか???とライバル機種なんかを見てるとハイブリッドで2000円切りの物も存在します。

銀メッキケーブル 画像

細めのケーブルだが安物特有の捻じれもなく良好です。マイクありバージョンも試しましたが音質に差異はなく通話したい方にもおすすめです。がマイクの音質はそこそこ。

KZ ZSTX

ハウジングは大きめで耳の穴が小さい人は少し装着感に疲れがあるかもしれません。

音の傾向

再生環境はiPad Pro(2017年モデル)、iPhone XS、audient iD22です。

iPhoneでは付属の変換ケーブルを使っています。

まず音質に驚きました。国内で今まで1万円前後出さないと、下手したらもっと出さないと得られなかったようなレベルの音です。2580円なのが信じられません。

SUAMA

SUAMA

2万は積まないと確実にこれを買えるイヤホン買えないんじゃないかって感じ。1万ちょっとのやつと表現力はいい勝負。

箱だしすぐの印象は強烈なドンシャリで全体としては際どいところでよくバランスを取っていてついハマってしまう感じです。ラーメンで言ったら次郎系な感じ。中域のへこみ方がいい具合で楽しく音楽を聴くのにとても向いています。

それではそれぞれの音域にフォーカスして詳しく掘り下げていきます。

主観によるものですのであくまで参考程度に捉えていただけると幸いです。

低域

上にも書きましたが強烈なローです。

カナル型のイヤホンですと、どうしてもこの傾向があるのですがそれを超える破壊的で深みのある低域です。新しめの両壁コンクリートで縦長のライブハウスでバスドラの音だけをずんずん聞いているかのような感じです。

ほんとこれを設計した人はあほなのか?ってくらい出ているのですが何曲か聞いていると慣れてきてしまい、次第にハマりこんでしまいます。シンプルに音量も大きいのでピッチがはっきり聞こえてくる。

SUAMA

SUAMA

海外のローが強い音源は序盤全然聞けませんでしたが時間経過で慣れてきました。エージングされたのもある?かも

バスドラやサブベースがものすごくはっきり聞こえる一方で、割りを食っているように聞こえたのがエレキベースです。音の広い楽器がいると結構埋まってしまうことがありました。

ドンシャリ傾向ですとバンドサウンドとか聞くのが楽しかったりするんですが音源のミックス次第ではエレキベースが物足りなくなっている場面には何度か出くわしました。

中域

かなりへこんでいますが当たり障りのない中域です。歪みが少なく、特徴はあまりないけれどZSTXにとっての縁の下の力持ち、といったポジション。

低域との表現を棲み分けるために敢えて一歩後ろにいる感じでしょうか。低域との棲み分けが絶妙で非常に聞いていて楽しいです。

音量に対しても柔軟で非常にコスパの高さを感じさせてくれます。

高域

上記二つよりも特徴があり、際どい印象を受けました。

基本的には伸びやかで表現力があるのですが音量設定がシビアで、音源によってはハットや金管楽器の倍音なんかがやたら刺々しく聞こえてしまうことがあります。上から下まで広く出ている楽器ほどその傾向にあります(レイヤーされたキックとか)がここもエージングでおとなしくなっていきます。

音量の小さい超高域はバッチリです。ベルなんかは広く聴こえて気持ちが良い。

SUAMA

SUAMA

普段はエージングとか全然気にしないけどZSTXは鳴らすほど変わっていった。箱出しの音からはかなりおとなしくなる。

基本的には値段以上の表現力を持っているが、音量を上げると粗が出る、と言ったら良いでしょうか。

モニターとしてはどうだった?

基本はやはりリスニング用ですが、結構いけてしまいました。

KZ ZSTX
一応耳全体を覆ってくれる形にもなっています。

1DDのモニターよりも断然繊細です。がしかし楽器屋やイヤホンショップで売っているインイヤーモニターに比べて遮音性が低いです。残念…

基本的にライブや録音で使われるインイヤーモニターには30db強の遮音性能があり、イヤホンの中の音に集中しやすい設計になっていますがZSTXは公式では20db強の遮音性能です。

個人的にはもう少し低くない?という感じがします。音量をある程度上げると確かに周りの音は聞こえづらくなりますが。

SUAMA

SUAMA

まぁこれ2580円だから…逆にここまでできてしまう方がおかしい。

ボーカル録音なんかで密閉型のヘッドホンが苦手なタイプな人はまずこれを試してみても良いんじゃないでしょうか?ギターも全然いけてしまいました!

SUAMA

SUAMA

安いしいくらでも替えが効くからZSTXをガンガン使っていきたい。買い替えも楽だしストックもしています。

まとめ

いやほんと衝撃です。

今までのイヤホンの価格を破壊しにかかっている製品と言えます。

欠点が無い訳では無く結構厳しめにレビューしましたが、基本的に2000円そこそこのイヤホンなんでまずそもそも何かを期待して聞く、なんてことはまずありませんしね。

これを買って以来すっかり中華イヤホンにハマってしまい、いろんな機種を聞き比べたり集めたているので機会があれば別のイヤホンもレビューしていきたいと思います。

似た価格帯でKZの不満点を払拭したバランスのイヤホンを紹介できたら、と思います。

  • 安く良いイヤホンが欲しい!
  • 格安でそこそこ使えるモニターが欲しい!
  • 重低音が好きだけど従来の安い重低音重視のイヤホンは卒業したい!
  • リスニング環境のグレードを1段階上げたい!

という方に是非おすすめのイヤホンです。

価格に対してオーバーな満足感を確実に提供してくれるでしょう!それでは。

SUAMA

SUAMA

フリーランスのギタリスト。大学を中退後、音楽専門学校に入学。卒業後地道にキャリアを重ねていく中でBTCFXでも収益を上げ2019年に独立開業。作編曲を勉強しながら録音のお仕事とレッスンをしています。各種お問い合わせはページ最下部かページ上部CONTACTからお願いします!

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